: 2011年12月14日

乾燥物がセシウム基準値超えで生シイタケにも風評波及

乾燥物がセシウム基準値超えで生シイタケにも風評波及/上毛新聞ニュース

 県内8市町村で原木栽培された乾燥シイタケから暫定基準値(1キログラム当たり500ベクレル)を超える放射性セシウムが検出された問題で、シイタケ農家や生産者団体に動揺が広がっている。該当市町村の乾燥シイタケが出荷自粛となったことに加え、基準値を超えていない生シイタケにも価格下落や取引停止など風評被害が及んでいるためだ。原木栽培全国1位の生産量を誇る本県の揺れる生産現場を取材した。

 「年末でこれからが売れる時なのに…」。富岡市野上の富田修栄(しゅうえい)さん(62)は、乾燥シイタケが出荷できなくなったことに落胆を隠せない。ビニールハウスの中に約1500本の原木が並ぶ。肥えたシイタケのかさが、今が旬であることを物語っていた。

 ■売り上げ激減 生産量は年間約10トンで、収入は乾燥が2割、生が8割。今月5日に同市を含む8市町村で乾燥シイタケから基準値超のセシウムが検出されたと発表されると、生の売り上げが激減した。「シイタケを生産して44年。ここまで売れなかったことは記憶にない」。県の検査ではハウス栽培のシイタケから放射性物質は不検出か、検出されても1キログラム当たり最大10・9ベクレルと微量だ。「安全なのに」。悔しさが募る。

 JA甘楽富岡は13日、これまでの経緯や対応についての生産者向け説明会を開いた。「補償はしてくれるのか」「不安で夜も眠れない状態が続いている」。約120人の出席者からは悲痛な声が相次いだ。

 JA甘楽富岡は県から補助金を受けて放射性物質測定器1台を購入、検査を始める。担当者は「このままだと群馬のシイタケ生産者は全滅する。消費者にシイタケが安全であることを証明しなければならない」と話した。

 ■「検査結果知って」 菌床栽培で生シイタケを生産する月夜野きのこ園(みなかみ町)は月1回の検査をしているが、検出下限値が20~25ベクレルの測定器で生シイタケ、菌床ともに放射性物質が検出されたことはない。だが、売り上げは2~3割減少。担当者の斎藤進さん(50)は「検査結果を知ってほしい」と切望する。

 前橋青果によると、福島第1原発事故の影響で安値が続く。県産原木シイタケの100グラム当たりの市場価格(高値)は12日、95円と例年より50~60円安。菌床シイタケも137円と20円程度安い。

 ■原木生産も影響 原木を生産する林業にも影響が出ている。沼田市内で材木会社を営む男性(58)は、所有する桐生市内の林で木を自主検査した結果、国が示した指標値(1キログラム当たり150ベクレル)を超える230ベクレルのセシウムを検出した。国は洗い流すなど除染して指標値を下回ればいいとしているが、男性は今年、出荷しても売れないと判断し、この山で木を切ることをあきらめた。「シイタケ、原木の生産者両方が駄目になる」
 (報道部・須藤拓生、富岡支局・佐藤秀樹)

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